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Memory of Night 番外編
第4章 Episode of AKIRA
宵の抗議は軽く受け流し、そっかー熟女趣味なのか、などと一人で納得する晃。
もういちいち突っ込まず、放っておくことにした。
外は夕暮れ時。辺りは橙色に染まり、肌を撫でる空気も心なしか冷たい。
二人で歩みを進めていると、突然晃の手が伸びてきて両手に提げた紙袋を掴んだ。
「重いだろ? 持つよ」
「平気」
「遠慮しないで」
別に遠慮しているつもりはないけれど。
確かに両手が塞がっていると歩きにくい。
宵は右手に提げていたものを晃に渡した。
「ありがと」
「いいえ」
にっこりと笑った晃は、どことなくいつもよりご機嫌に見える。
そうして活気のなくなり始めた表通りを歩いていると、唐突に晃が口を開いた。
「俺も両親のことは好きだよ。仕事に必死な姿には尊敬もしてる。だから俺も、将来同じ職に就きたいんだ」
だけど、と晃は声のトーンをわずかに低くし、続ける。
「……寂しかったのは事実だな」
「今も?」
宵は振り向き、夕日に照らされ赤く染まった晃の瞳を見つめた。
今も変わらず晃の家には人の気配がないことの方が多い。
三階建ての広すぎる家では、余計に孤独を感じてしまうのではないだろうか。