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Memory of Night 番外編
第5章 美少女メイドを捕まえろ!
「――あ、もしもし!」
吐く息も凍る、冬真っ只中の十二月。
ひんやりと冷たい廊下の壁に背をつけて、菊池明(きくちあかり)は携帯を耳に当てていた。
澄みきった空気を切り裂いて、女子高生にしてはやや大人びた声が辺りに響き渡る。
徐々に赤く染まり始めた空が、窓を通して彼女の瞳を焼いている。冬は本当に日が沈むのが早かった。
「あ、明ちゃん……っ?」
驚いたような声ではあるけれど、心なしか嬉しそうに携帯越しの少女の声が応えた。
続けてこう尋ねてくる。
「どうしたの?」
久々の電話の相手は控え目な声量で、携帯では少し聞き取りづらかった。そういえば、彼女がこちらにいた時はもっとハキハキ喋りなさいよとよく小突いたものだ。
明はこっそりと、受信音量を一あげた。
放課後とはいえ一応学校なのでそう長々と電話してもいられない。明は早々に目的を告げる。
「今日は文化祭のお誘い。南風祭(なんぷうさい)が一月の始めにあるんだけど、来れない? ほら、入学してすぐに引っ越しちゃったじゃんか。うちの学校の文化祭二年に一度だし、参加してないよね?」