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WHITE TIGER
第2章 Bump
「や、やっぱ男の人に"ちゃん"付けは、ね~。女の子みたいだしね」

「そ、そうだよね~」

…と、明らかにお姉さん達の表情が曇っている。

いきなり大声を出した俺は要注意人物と見なされてしまったのだろうか。




でも、これだけは譲れなかった。

いや…、これぐらいの思い出なら大切に取って置いてもいいだろう?

その呼び方をしていいのは舞だけ。

俺の大事な、叶うはずのない片想いの思い出として取って置いてもバチは当たらないだろう。

どうせ…、俺は舞とは結ばれねぇ運命なんだから。



どうせ、俺は━━━━






「ほらほら、飲み直そうよー」

と、感傷に浸る俺の横でじゃんじゃんお酒を作るお姉さん。


…つーか、お姉さん達の香水の匂いが鼻に付いて気持ち悪い。





はぁ…っ、と溜め息を付きながら注がれたお酒を必死に飲んだ。

やけ酒とはこういう事を言うのだろう。

あんまり身体に宜しくない飲み方だけど。


しかし、さっきから舞を忘れようと物凄いピッチで飲んではいたがやっぱりブランデーなだけあってアルコールの度数は高い。


…何か、気持ち悪くなって来た。

お姉さん達の香水と交ざってマジで気持ち悪いかも。


「おい、永野。お前顔色悪いけど大丈夫かよ?」

「…へ?」

俺の顔を覗き込みながら先輩が心配そうにしている。

「だ、大丈夫ですよ~」


さっき大声を出して場の雰囲気を壊してしまって一気に自己嫌悪。

そこに思い出に浸りながらのやけ酒。

正直、身体もメンタルも全然大丈夫じゃない。







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