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あいの向こう側
第5章 ひとつぶのセンチメンタル
父が死んだ。
わたしは東北支社に出向した会社員の女で、
来月40を越える。
独身の身軽な生活。
だだっ広い地平ばかりがある寒い町で、
出社してコーヒーを淹れていたところに父の訃報を受けた。
10も離れた義理妹からの知らせだった。
弟の奥さんである。
弟の奥さんは朗らかで良い女性だ。
頑固者の弟にはぴったりだろうと思う。
少々慌てた声でTELがあった。
―――わたしはぽかんとしたあと、
『わかったわ。
連絡をどうもありがとうございました。今日の午後には帰りますね』と答えた。
わたしは東北支社に出向した会社員の女で、
来月40を越える。
独身の身軽な生活。
だだっ広い地平ばかりがある寒い町で、
出社してコーヒーを淹れていたところに父の訃報を受けた。
10も離れた義理妹からの知らせだった。
弟の奥さんである。
弟の奥さんは朗らかで良い女性だ。
頑固者の弟にはぴったりだろうと思う。
少々慌てた声でTELがあった。
―――わたしはぽかんとしたあと、
『わかったわ。
連絡をどうもありがとうございました。今日の午後には帰りますね』と答えた。