この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あいの向こう側
第5章 ひとつぶのセンチメンタル
土が爪に入る。
小石が指を傷つけた。
わたしは構わずに……………
土を堀り続けた。
おとうさん。
わたしは何も辛くなかったよ。
あなたがわたしを連れ出して、違う空気を吸わせたかったことを知っていた。
母親のことが負い目だったことも、
ずっと気を遣って遠慮していたことも知っているよ。
わたしは、
父が最期を迎えた場所で父にそう叫ぶ。
喪服のまま。
無言で…
ポケットから白い骨が転がり出た。
それでも掘ることを止められない。
おとうさん、
おとうさんっ………
わたしは心で叫びながら、さっきの中学生が〔わたし〕
であることに気付いた。
目から一粒、
涙が溢れた………………
〔終〕
小石が指を傷つけた。
わたしは構わずに……………
土を堀り続けた。
おとうさん。
わたしは何も辛くなかったよ。
あなたがわたしを連れ出して、違う空気を吸わせたかったことを知っていた。
母親のことが負い目だったことも、
ずっと気を遣って遠慮していたことも知っているよ。
わたしは、
父が最期を迎えた場所で父にそう叫ぶ。
喪服のまま。
無言で…
ポケットから白い骨が転がり出た。
それでも掘ることを止められない。
おとうさん、
おとうさんっ………
わたしは心で叫びながら、さっきの中学生が〔わたし〕
であることに気付いた。
目から一粒、
涙が溢れた………………
〔終〕