この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
プリズムのかけら
第2章 Be Honest
高岡先輩との情事に終止符が打たれた。先輩が元彼の弟に本気になった、というか、自分の気持ちに気付いたからだ。少し前まで僕とセックスしまくってたのに、もうそんなことは忘れたみたいに幸せそうで……、そりゃ少し妬けるけど、もともと本気で誰かを好きになって入れ込んだりするタチじゃない僕にとっては、大したダメージでもない。もちろん性処理の相手に困ることもないし。
けど、高岡先輩はなんかちょっと特別だった……、それは認めざるを得ない事実で、そんな彼女が独占欲を感じる相手を見つけて離れていったことにはちょっと考えさせられる部分がある。高岡先輩を一途に想っていたあの男、小暮先輩も……、なんであんなに一人に執着するんだ?それがわからない僕の恋愛観は一体どうなっているんだろうか。ま、こんなこと考えたって、誰か一人に執着なんて気はサラサラないんだけど……、と、思い込もうとしている自分に、薄々気付き始めている。
本当は、独占欲を感じるぐらい心乱される相手と燃えるような恋をしてみたい。けど、もしそんなに好きになって、高岡先輩みたいに離れて行かれたら……?そう考えると、やっぱり恋なんてめんどくさい。と思う。
「おかえりなさいませ、匠さま」
「ただいま、サトさん」
「七海さまがいらっしゃっていますが、いかがいたしますか?」
「えっ……、何だろう急に。わかった、すぐ行くよ」
「はい。応接室でお待ちです」
七海は幼馴染だ。と言っても近所づきあいではなく。超有名小説家の藤堂京一と、大御所舞台女優の前川香緒理を両親に持つ僕の家に訪れる、各方面のセレブ達の子ども同士として幼少期に出会った一人。僕の父親の旧い友人である石堂悠一氏が取り仕切る石堂財閥のお嬢様だ。僕の家に出入りしていたことから母に憧れを抱き、子役から女優の道を歩んでいる。
「久しぶり、七海。いらっしゃい」
「匠、こんにちは。急にごめんね」
「いや、ちょうど今日は空いてたから。どうしたの?」
「ちょっとお母様に……、前川香緒理さんに相談があって。でもいらっしゃらなかったわね」
彼女は仕事の相談をよく同業者である母にしているようだ。
「ああ、そうだね。最近舞台の稽古でよく出かけてる」
「また改めるわ。あ、これ、お土産。よかったらどうぞ」
「ありがとう。そうか、アメリカに行ってたんだっけ」
けど、高岡先輩はなんかちょっと特別だった……、それは認めざるを得ない事実で、そんな彼女が独占欲を感じる相手を見つけて離れていったことにはちょっと考えさせられる部分がある。高岡先輩を一途に想っていたあの男、小暮先輩も……、なんであんなに一人に執着するんだ?それがわからない僕の恋愛観は一体どうなっているんだろうか。ま、こんなこと考えたって、誰か一人に執着なんて気はサラサラないんだけど……、と、思い込もうとしている自分に、薄々気付き始めている。
本当は、独占欲を感じるぐらい心乱される相手と燃えるような恋をしてみたい。けど、もしそんなに好きになって、高岡先輩みたいに離れて行かれたら……?そう考えると、やっぱり恋なんてめんどくさい。と思う。
「おかえりなさいませ、匠さま」
「ただいま、サトさん」
「七海さまがいらっしゃっていますが、いかがいたしますか?」
「えっ……、何だろう急に。わかった、すぐ行くよ」
「はい。応接室でお待ちです」
七海は幼馴染だ。と言っても近所づきあいではなく。超有名小説家の藤堂京一と、大御所舞台女優の前川香緒理を両親に持つ僕の家に訪れる、各方面のセレブ達の子ども同士として幼少期に出会った一人。僕の父親の旧い友人である石堂悠一氏が取り仕切る石堂財閥のお嬢様だ。僕の家に出入りしていたことから母に憧れを抱き、子役から女優の道を歩んでいる。
「久しぶり、七海。いらっしゃい」
「匠、こんにちは。急にごめんね」
「いや、ちょうど今日は空いてたから。どうしたの?」
「ちょっとお母様に……、前川香緒理さんに相談があって。でもいらっしゃらなかったわね」
彼女は仕事の相談をよく同業者である母にしているようだ。
「ああ、そうだね。最近舞台の稽古でよく出かけてる」
「また改めるわ。あ、これ、お土産。よかったらどうぞ」
「ありがとう。そうか、アメリカに行ってたんだっけ」