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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第1部
第5章
ヴィヴィは悪戯が成功した小学生の様に、にかっと白い歯を見せて笑うと、
「隙あり~っ!」
と叫び、そそくさとその場から逃げて行った。
「…………、って。自分からキスしてるじゃないかっ!!」
驚いて しばし呆然としていた匠海は、しかしすぐに我に返り、誰も居なくなった空間に対して1人で突っ込み。
そして「はぁ~……」と深い溜め息を付いて、がっくりと項垂れた。
知らず知らず、その口元に長い指先が添えられる。
ヴィヴィの――妹の柔らかくてしっとりとした唇の感触が、残っていた。
匠海だって一応男だ。
妹とは言えあんなに愛らしい少女が、艶々のピンク色の唇を押し付けてきたら、少なからず動揺する。
「はぁ……いつになったら、兄離れ、してくれるんだろう……」
いつまであの可愛い『攻撃』に耐えなければならないのかと、匠海は途方に暮れるのであった。