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エブリデイ
第3章 意識した瞬間から
「じゃ、じゃあ……外す、よ?」
「――ん」
短く肯定の意を表し、いつも猫背のイメージのある寺井が、ピンと背筋を伸ばした。
あ、外し易いように……?
僕はそんな些細なことに若干の感動を覚えながら、両手をゆっくりと背中のブラジャーへと伸ばした。
そう言えば――と、ふと思い浮かべたのは、女性経験の無い男がブラジャーを外すのに手こずって相手の女の子をシラケさせるようなシーン。その手のDⅤDやエロ動画等で、見かけたような気がする。
そんなことで自らにプレッシャーをかけながら、自然と指先を震わせ。オーソドックス(?)に思える寺井の白いブラジャーの、そのホックのつなぎ目を僕は慎重に摘まんだ。
すると、プッ――と弾けるような感触があり、ホックは思いの外あっさりと外れている。
なんだ……楽勝!
とか思いつつ、密かに胸を撫で下ろしている、僕。
でも、よく考えれば、そんなの当たり前だった。明るい部屋で、背中を向けられ、その上両手まで用いて、それが外せなかったら不器用とかの話ではない。
そして、今は――そんなことを気にしている時ではなかった。
寺井が大人しく背中を向けているから、妙なことに気を取られ、僕は肝心な事実に気がつくのが遅れている。
つまり、それは――寺井の胸を包み隠すものが、現在、皆無である――ということ。