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桜舞うあの日のままで
第8章 卒業と旅立ち
 悠の「お別れ」「最後の」という言葉に、風香の胸は痛む。

 悠の通うことになるK大は関東にあり、この街からはそこそこ離れているのだ。

 実家からは気軽に行き来できない距離のため、悠は下宿することになった。

 このことは、風香はとっくに理解していたはずなのだが、つい先日の合格発表までは「絶対に自分も悠と一緒に通う。そして下宿する」と心に決めていたため、その夢が潰えてからのショックは言葉では言い表せないほどだ。



 そして、悠は10日後には、この街を発って、下宿先へ向かうという。

 つまり、悠と気軽に会える時間は、たった9日間ほどしか、風香には残されていなかった。

 それでも、「またあと9日間、猶予がある」という考えが、風香の決意を鈍らせ始める。

 固く決めたはずの「今日、告白しよう」という決意を。




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