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桜舞うあの日のままで
第15章 悠の帰郷
真奈美の実家へ向かう途中に見つけたコンビニへと引き返しつつ、一人ボソッと呟く悠。
「まさか、あんなこと言われるとはなぁ。熱によるうわ言だとは思うけど」
悠は密かに、風香の顔を思い出していた。
さっき、真奈美に告白された直後にも、すぐに脳裏に浮かんできた風香の笑顔を。
悠はふと立ち止まり、夏の青空を見上げる。
大きな悩みを抱えている悠とは裏腹に、青空は澄み渡っていて、雲も少なかった。
近くの木からは、セミの鳴き声が聞こえている。