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桜舞うあの日のままで
第5章 切なく寂しい風香の夏
 息抜きとして、大勢の友人たちと行った夏祭りや花火大会なども、風香の憂鬱を晴らしてくれることはなかった

 いつもその場にいてくれた悠の姿が、今年はなかったからだ。

 もちろん、「彼女と二人っきりで行くため」という理由だった。



 今まで、当たり前のように感じていた悠の存在が、今や大きな大きなものに感じる風香。

 悠がいないというだけで、風香は好きな場所やイベントへ行っても、心から楽しめなくなっていた。

「悠と一緒に気安くどこかへ行けるような日は、もう恐らく来ないだろう」という見通しが、風香の心をさらに沈ませていく。

 その寂しさや切なさ、悲しさを忘れようとするため、風香は心を奮い立たせて勉強に打ち込んだ。




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