命令
四つん這いの形で、後ろから突かれ始めました。
男は一度挿すごとに中を確かめるように、奥をこねります。
そうされるたび、私の中も、男を見定めるように絞り込みます。
「どうだね? 北野君、妻の具合は?」
「部長、締りが最高っす! それになんか若い子と違って絡み付きがすごいっすね!」
そう言いながら、男は更に奥へ奥へとえぐるように突き上げてきました。
こらえ切れず、私の口から短い高い声が上がりました。
「田川君はどうだ? 妻の口の方は?」
前の男は、私の髪の中に両指を潜り込まるように頭を掴みながら、腰をゆっくりと動かしています。
喉まで突かない加減の仕方は、今までも女の口を犯したことのある動きのように思えました。
私は無意識に、差し込まれるタイミングに合わせて舌を押し当て、引き抜かれるときに口をすぼめます。
「気持ちいいです。奥さんすごい上手です」
髪の毛を掴む手に更に力が込められました。
初めてでした……前と後ろから、犯されるなんて……。
それも今日会ったばかりの男たちに……。
でも、その異常とも思える行為のはずなのに、私の身体には今までにないほど早く、悦びの頂きの兆しが現れていたのです。
「部長、だめっす! 出そうですっ!」
後ろから慌てた声がしました。
「部長、私も……もう……」
前の男も情けない声を上げました。
「しょうがないな、まだ始まったばかりだぞ……まあいい、二人とも一度出せばいい、中に……まだ先は長い……」
「え、いいんすか? 中に?」
「ああ、いいよ、遠慮はいらん。今日は思う存分出しなさい」
「ほんとっすか? へへ、じゃ、お言葉に甘えて……」
後ろの男は、スピードを上げました。
でもその直後に「ああ……もうだめっす!」と言い放すと、突然、動きを止めたのです。
前の男も「はあ……うっ……」と息を吐くような声を漏らしたあと、私の髪を鷲掴みしました。
私の前後に埋め込まれた熱い肉塊が、同時に膨れ上がったかと思うと、次の瞬間、力強く脈打ち始めました。
その、男の持つ固有の振動と、私の体内に広がる熱い液は、私の身体を激しく震わせ、今までにない高みへと押し上げました。
荒い息の私たちに夫の指示が飛びました。
名残惜しそうに、二人の男が同時に私から抜け出ました。
満足げな顔の夫が持つビデオカメラのレンズが、私の前と後ろを何度も往復しました。
完
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蒼井シリウスさんの日記
官能アンチショートショート その2
[作成日] 2019-04-18 16:10:03