『選択肢』
「今田、百合子、お前らに選択肢をやる。
お前らが俺の目を盗んでチチクリ合っていたのはもう言い逃れのない事実だ。百合子、お前、昔の俺と子供との一緒の生活に戻れるのなら、どんなことでもすると俺に言ったな? 昨日は今田のことはもう何とも思っていない、とも言ったな? 愛しているのは俺だけだと言ったな? 間違いないか?」
「はい」
百合子はきっぱりとした口調で言い放ち俺を見つめた。
「じゃあ、今田の目の前で俺に抱かれろ。そして中出しさせろ。もう一人子供を作ろう。そうしたら、お前の望み通り、お前らがこれまでしたことは、水に流そう。ただ、今田は別だ。今田には俺の部下として自分のやったことの責任は取ってもらう。まず最初に慰謝料はきっちりと払ってもらう。次にお前の社会的地位を奪う。上司の妻と不倫をした報いとしてな」
「え? 今、ここで?」
百合子のうわずった声だ。
今田は目を見開いたまま口も開かず俺を見ていた。
「そうだ。もうひとつお前らに選択肢をやろう。もし、百合子、お前が仮に、まだ今田のことが好きならば、今、俺の目の前で今田に抱かれろ。今田に抱かれ、今田に中出しさせろ。そうしたら、お前と今田を自由にしてやる。お前と離婚してやってもいい。もちろん、お前や、今田には慰謝料も請求しない。それだけ愛し合っているのならな? ただ、お前はもう百花と一樹には会うことは許さない。一生だ。お前は、若い男のために子供を捨てた母親として、子供から一生そう思われ続けるんだ。さあ、選べ!」
今まで黙っていた今田が百合子の方を向いて初めて口を開いた。
「百合子。今わかった。俺の人生で一番大事なのは百合子だと。部長もああ言っている。俺は百合子と二人で暮らしていけるなら、何も要らない。な、百合子、一緒になろう!」
床を見ていた百合子の目は定まらなかった。口からもすぐさま返答の言葉は出てこなかった。
今田が百合子ににじり寄り、手をとる。
「百合子、今までごめん、百合子から俺の子供が欲しい、中に出して、何度も言われたけど、覚悟が出来てなかったのは俺の方だった。でも、もう俺の覚悟は決まった。なあ、百合子! もう誰にも気兼ねなく、一緒に暮らしていけるんだ。二人の子供を作ろう。なあ、一緒に暮らそう!」
「百合子。服を脱げ! さあ、今決めろ!」
俺は声を荒げた。
百合子は立ち上がり服を脱ぎ始めた。
完
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蒼井シリウスさんの日記
官能ベリーショートショート その56
[作成日] 2023-06-18 21:01:22