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ある日の『みなと町』

今日は小春日和。外は麗らかな陽気に包まれていた。常連のお客さんもお外で日向ぼっこしているのかもしれない。いつもより客足が遠い気がする。

蒼人さんのお仕事がお休みで、昼前から『みなと町』に来てくれていたので、お父さんには申し訳ないけれど、私としてはありがたいと思ってしまう。忙しいとお話できる時間、少なくなるから。

そんな昼下がり。カランと扉のベルが鳴り、郵便屋さんがお手紙を届けに来た。
ほとんどが仕入先からの請求書のようだったけれど、一通、私宛のものもあった。

え？私にお手紙？

真っ白い洋封筒。表には住所も何もなくて、『古谷みなとさんへ』とまるっこい字で書かれていた。差出人は？

「え？！」
私が思わず声を出してしまったので、蒼人さんが寄ってくる。私は、封筒の差出人のところを蒼人さんに見せた。

「ええっ！」と蒼人さんが私と同じように声を上げたのと、『みなと町』の扉が勢いよく開くのが一緒だった。
「みなとちゃん！！」
そこに居たのは、肩で息をしている水際さんだった。

☆☆☆
水際さんも私が受け取ったのと同じ洋封筒を持っていた。
差出人は二通とも『Kalraより♪』

「作者さんですね」
「だね」
「そうだね」

開けてみて、更にびっくりした。
そこにあったのは、

『ピックアップ二回目おめでとー🎉』

の文字だった。

「二回目・・・」
「うん・・・」
「すっごーい！」

三者三様。キッチンの奥にいるお父さんも、サイフォンのお手入れをしながら、こっちのことをチラチラ気にしているみたい。

「やっぱり、みなとちゃん、可愛いから！」
「うん、そうだね」
水際さんと蒼人さんの言葉に顔が赤くなる。
「え、いや・・・その・・・水際さんも・・・か、可愛らしいですし」
声が最後、小さくなってしまう。
「蒼人さんも・・・」
かっこいいですし、と言いたい声は更に小さくなった。

コトン、と私達の目の前にチーズケーキが三つ置かれた。
お父さんだった。
「お祝いだよ。こんなものしかないけどね
　みなと、ブレンド、淹れてくれるかい？」

もちろん

私はキッチンに回るとコーヒーを淹れる。
私と、水際さん、蒼人さん、そして、お父さんにも。

いつもより丁寧に、皆への感謝の気持ちを、いっぱいに込めて・・・。