そう言えば、あの日も朝から雨だった。
☆☆☆
雨の日は仕事が少ない。
ゆっくり飯食ってこいなんて言われたけれど、
僕には行くところなんてなかった。
6月の雨が、
冷たく僕の身体に纏い付く。
人目を避けるように歩いてたからかもしれない。
気づいたら、知らない神社に来ていた。
そう言えば、栞も神社が好きだった。
『蒼人!一緒にガンバろう!』
そう言ってくれた君が
いなくなって、僕は太陽を失った。
木の葉をゆらす雨音は、
あの日のことを思い出させる。
『それがあなたの選んだ仕事だから』
最期の言葉、思い出して、
まだ涙が溢れる。
君がいない無色透明な日々は、
ただ無為に過ぎていく。
僕はひとりで、
この降り注ぐ雨すら、
どうすることもできなかった。
『何言ってるの!』
あゝ、それでも君は言うだろう。
『どんな雨の日にだって』
『雲の上には太陽がある』
『君を照らしている!』
栞・・・
涙が雨に混じって地面に落ちる。
その時不意に、
じっと自分の顔を覗き込む人に気づく。
あまりにも間近で、
僕の顔を見ていた。
「うわああっ!」
びっくりして、
傘を取り落とした。
それは、とてもきれいな目をした、
知らない女の人だった。
「ごめんなさい」
そう言った、その人の傘は鮮やかな赤で、
灰色の世界がそこだけ色づいて見えた。
「あ、いや・・・こちらこそ」
今更ながら泣いてることが恥ずかしくなり
目を逸らす。
傘を失った僕の身体に
冷たい雨が落ちてきた。
「濡れちゃうよ」
そう言ったその人は、
傘を差し掛け、
ハンカチで僕の髪を拭った。
その時、僕に降る雨が、
音をなくして、黙り込む。
あ・・・
そう思ったときには、
彼女はすでに石段を降り始めていた。
手に、その子のハンカチを握ったままだと気づいたのは
少し時間が経ってからだった。
ぎゅっと、それを握りしめる。
気のせいか、雨足はもう、弱り始めていた。
☆☆☆
「蒼人、コーヒーはいったよ。
ピックアップおめでとうのケーキ
食べちゃうよ〜!」
ダイニングからみなとの声。
その声で、ガラスを叩く雨から、
意識が『今』に帰る。
栞のことは忘れてない。
でも、雨の意味は
いつの間にか僕の中で変わっていたみたいだった。
「今、行く」
そう言って、僕はダイニングに向かった。
作者ページ
kalraさんの日記
祝・雨が好き🎊ピックアップ7回目♪(はじまりの日Ver)
[作成日] 2026-06-15 06:11:49
日記へのコメント
みなさま
ピックアップ7回目です
もうびっくり。
そして今日、私の住むところは6月の雨・・・
みなとと蒼人が出会った日も
こんな灰色の日だったのかなと思って、
こんなショートストーリーを書いてみました。
言ってみれば「雨が好き0」
楽しんでいただけましたか?
この作品を愛してくれた
すべての方に
感謝いたします。
皆さまにも
優しい雨が降り注ぎますように・・・
Kalraでした♪
ピックアップ7回目です
もうびっくり。
そして今日、私の住むところは6月の雨・・・
みなとと蒼人が出会った日も
こんな灰色の日だったのかなと思って、
こんなショートストーリーを書いてみました。
言ってみれば「雨が好き0」
楽しんでいただけましたか?
この作品を愛してくれた
すべての方に
感謝いたします。
皆さまにも
優しい雨が降り注ぎますように・・・
Kalraでした♪
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