ベルトコンベアに無造作に放り込まれる大量のパン。その先は大型トラックの荷台だ。
ナレーションが入る。
「ウィーンでは毎日大量のパンのが廃棄処分される。それは、オーストリア第二の都市グラーツで消費される量と同じだ」
裕福そうな有識者が映し出される。
「現在スイスではパンの原料の8割を輸入に頼っている。主な輸入元はインドだが、そのインドでは2億人以上もの人が栄養失調に苦しんでいる。しかし、スイスの農家は農地の10%には何も植えない。EUから休閑地に助成金が出るからだ。そこにはトウモロコシを植えている。収穫したトウモロコシは、燃料用として暖炉へと直行する」
この映画は、食の生産の現場を追ったドキュメンタリーだ。
生産の現場しか出てこない。
農水畜産物の生産現場で今何が行われているかを淡々と見せる。
生き物であっても、システマティックに大規模に大量生産しなければならなくなっている。
そうしないと儲からないからだ。
そしてそのために犠牲になる人々の姿。
それでも生産者は嘆く。
儲からないと。
誰のための、この生産システムなのか?
消費者なのか、生産者なのか、だれも得しないならば、その為に犠牲になった人々は浮かばれない。
現在世界では120億人が食べていける食料を生産しているという。
しかし、一方で毎日10万人もの人が飢えが原因で死んでいる。
私たちはこの事実を突き付けられた時に、何をどう正せばいいのだろうか?
大企業なのか? 少しでも安いものを追い求める消費者なのか?
私たちは、これから生産者、消費者としてどうあるべきか、考えさせらる映画だ。子供たちにも観せたい。
もう一つ、私が関わっている国内の不条理を紹介しよう。
日本の農業倉庫には毎年、25万トンものコメが備蓄される。
総生産量の約3割だ。
価格維持のためだ。
農家の利益を守るため、コメを隔離して価格を調整している。
それでもコメが余って毎年価格が下落している。
なのに日本は取り決めで年間77万トンを輸入しなければならない。
そしてそのコメの行方は?
数年の保管を経て……人間が食べるものにはならない。
その間の維持費は税金で賄っている……この不条理。
私たちは何から正せばいいのだろうか?
まずは、高くても地産地消を心がけるべきなのだろうか?
今日はハードボイルドに書いてみました……。
作者ページ
蒼井シリウスさんの日記
映画レビュー『ありあまるごちそう』
[作成日] 2015-02-17 11:45:33
日記へのコメント
とりあえず、今飲んでいる安いスコッチウィスキーがなくなったら、国産に変えます。
でも、一番いいのは県産の日本酒に変えることだけど……(笑)
でも、やっぱり、おいしい日本酒は高い……。
結局、そのジレンマに陥る。
やっぱり、世界は変えられないのか?(笑)
でも、一番いいのは県産の日本酒に変えることだけど……(笑)
でも、やっぱり、おいしい日本酒は高い……。
結局、そのジレンマに陥る。
やっぱり、世界は変えられないのか?(笑)