『男の名』
そっと玄関のドアを閉め、靴を脱いだ。
日付が変わったばかり。
リビングでは、夫が革張りのソファに座りテレビを観ていた。
バスローブ姿で、手にはブランデーグラスを持っていた。
「ごめんなさい。遅くなって……」
後姿に声を掛けた。
「いいよ、たまには羽を伸ばすのも必要だよ」
夫は振り向かず答えた。
「お風呂に入ってきますね」
そう告げてリビングを出ようとしたときだった。
「こっちへおいで美香……」
夫のそばに寄った。
「服を脱いでごらん」
「先にお風呂を……」
「いいから、脱いでごらん」
やさしい口調だが逆らえなかった。
スカート脱ぎ、ブラウスをボタンを外し、下に落とす。
ブラジャーを外し、ショーツを丸めながら下げた。
「こっちにおいで」
夫の前に立った。
夫の手が、太ももの間に差し込まれた。
的確に私の粘膜の隙間に指が入り込んでくる。
「あっ……」
指はすんなりと根元まで埋没した。
何度か中で折り曲げられた。
「出されたのかい?」
夫が無表情で問う。
私はうつむいた。
「ごめんなさい……」
温かい液が、夫の手の平から腕へと伝う。
「来なさい……」
夫がバスローブの前を開く。
夫のものは既に太くなった先が上を向いていた。
座っている夫の上に、脚を広げ跨る。
自分以外の粘液がまとわりつく入り口が夫の先端を迎え入れる。
こなれていた中は、難なく夫のものを呑み込んで行った。
夫に体重を預ける。
「ああっ!」
夫の首に腕を巻きつけ、すぐ腰を押し付ける。
「ごめんなさい、あなた!」
泣きながら、夫に唇をねだる。
「今日の男の名は?」
夫がお尻を下から抱え、私の動きを促す。
「いやっ! 許してください!」
「男は君の中に出すときなんと言ったんだい?」
「そんな……言えません!」
「さあ、早く言いなさい!」
前後に激しく揺さぶる。
「ああっ! 愛してると! 私を愛してると! 」
「君はなんと答えたんだ?」
「いやっ! それだけは!」
夫の手の動きが腰の動きになる。
「言いなさい! ほら! 私も君をこんなにも愛してるんだ!」
下から激しく突き上げる。
「愛してるよ、美香!」
「ああ、私も、愛してるわ!」
「いく、いくよ、美香!」
「ああっ! 来て! ボブ! 私の中にいっぱい出して! ボブーッ!」
私は今日何度目かの絶頂とともに、今日三度目の男の微動を中で感じた。
完
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蒼井シリウスさんの日記
官能ベリーショートショート その24
[作成日] 2016-07-21 08:12:25