右手で根を握る。
数人(かずと)はまだ慣れないのか、「へへっ………」とぎこちない笑みを浮かべた。
美波(みなみ)は「んっ、あん、あ」と左胸を揉みながら膝を立てている。右手は脚のつけ根で忙しげに蠢く。
イエローのポロシャツから覗く、
美波のヘソ。
もう少し、下………………
僕は願いを込めて右手に力を入れる。
窓の外から蝉の鳴き声がする。
「あ、んんっ」美波は目を閉じて恍惚の表情を浮かべていた。
『せんせー、さよーならあ~~~』
廊下から声がした。
僕たちはビクッとして息をころす。
『はあい、さよなら~。
暗いから気をつけて帰るのよお~~~』
6年生の担任の馬場園(ばばぞの)の呑気な声が響く。
コツコツと靴の音が小さくなっていった。
再び静まり返る。
僕と数人は視線を交わす。
頷くと、美波が「…………ん…………あっ、あん」と右手を動かし始める。
下腹が熱い。たぶん、あと少し。
美波がポロシャツをまくり上げた。
僕は一瞬顔を上げたけど、気恥ずかしくて目をギュッと瞑った。
数人は釘付けだろう。
しゅっしゅっ………
あん、あ、あんっ…………
蝉の鳴き声に混じって、衣擦れと美波の喘ぎが低く木霊する。
「くっ…………」
根が膨らんだ。脈打つように跳ねる。落ち着かなくて薄目を開いた。
(あ、来る……)そう思った瞬間、もう床にミルクが蒔けていた。
隣で数人がはいつくばり、はーはーと深呼吸している。
美波が「ああん、あん、みなみいっちゃう……」と小さな声で言いへたり込んだ。
僕はランドセルからウェットティッシュを取り出した。
数人に手渡すと、床のミルクを慌てて拭いている。
美波はポロシャツを直してパンツを持ち上げると、
ピンク色のランドセルを背負った。
僕と数人も急いでズボンを持ち上げる。
数人がスクールバッグを手に持つと「じ、じゃな!」と教室から出ていった。
美波と目が合う。
…………ここから先は、ちょっとだけ怖いんだ。
「じゃあね、また明日!」美波はそう言い駆け出す。
ミニスカートから伸びた細い太もも。
僕はブルーのランドセルを背負う。
大人たちが皆やってること。
少し怖くて、でも今すぐにでもしたい。
暗くなった廊下を独り急ぐ。
美波の脚のつけ根は、どんなふうになってるんだろう。
グウッと腹が鳴る。夕ごはん、何だろう。
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日比野あるくさんの日記
僕たちの明日
[作成日] 2016-08-07 21:12:50