『私の彼』
彼は大きな手で私を包み込むと、その大きな指に似つかわしくないほど繊細なタッチで私に触れてきた。
もう私のことなど知り尽くしているような、淀みない動き。
人差し指で軽く叩くように触れたと思えば、ときには親指の先で激しく何度も擦る。
私の敏感な表面は、彼の指のなすがままに反応してしまう。
彼が、当然、人差し指と中指で私の中心にそっと指先を当ててきた。
そしてそこを左右に広げた。
ああ、そんな……。
そしてそこに顔を近づける。
いやっ、なんで、そんなとこをじっと見つめるの?
そして、彼は、ふと思い立った表情になると、私の下腹部に唇を寄せ、こうつぶやいた。
「Hey,Siri」
完
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蒼井シリウスさんの日記
小噺集 その103
[作成日] 2017-08-02 12:32:01