『年に一度の逢瀬』
織姫、彦星の一年ぶりの再会だった。
織姫は赤ちゃんを抱いていた。
「見て、あなた、去年のあの時の子どもですよ……」
「そうか、あの時の子どもか……」
彦星は感慨深げにその赤ちゃんを抱いた。
そしてその夜も激しく求め合う二人だった。
それから一年後の七夕の夜。
彦星は天の川のほとりで織姫を待っていた。
織姫は大きく膨らんだお腹をさすりながら現れた。
そして申し訳なさそうにこう言った。
「ごめんなさい、あなた、今年は間に合わなくて」
完
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蒼井シリウスさんの日記
小噺集 その85
[作成日] 2015-07-07 14:27:31