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中村 心響さんの作者ニュース
ある男の胸の内…①
まさかとは思っていたわけだ……
いや…
だが、あり得なくもない出来事だ。。。
こんな灼熱の真っ昼間に人が砂漠に落ちてるなんて──
俺も最初は遊牧民か行商人(キャラバン)の行き倒れかと思ったんだが……
よく見ればそれは患者の衣服を身に付けていた…
近くには弟の邸がある
ふ…急に兄離れしたかと思ったら独り立ちまでしてくれた可愛いげのない弟だ…
まあ、それは置いといて──
倒れていたそれはかなり衰弱していたようだった。
弟の邸よりも医療設備の整った俺の邸にそれを連れて帰ったわけだが……。
そう言えば、迎え出た執事が驚いたあと実に怪訝な目で俺を見ていたな……
「またで御座いますか? これで18人目になってしまわれますが…」
さっと人数が口に出ることに思わず感心したよ、あの時は…っ
笑って返しただけで、直ぐに俺の部屋で医者に看せて休ませたんだが……
まいった……
抱き起こして水分を取らせていたら、肌けた胸元が吸い付くように俺の肌に重なった…
あれは
少し疼いた…
…って、今さら白状したらあいつは怒り狂うな
「………」
たまに思う──
こうやってベランダで月を眺めて強い酒を飲めば
あの時、牢に捕われていたアイツに言ったように…
目の前で抱いてみせたらどれだけ怒り狂うか……
今……本気で興味沸いてきてる…
なんて
は、…
ダメだな…
やっぱりこれは悪い酒だ……
酒に仕込んだあの薬。効きめが強すぎる……
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