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中村 心響さんの作者ニュース
バレンタイン・ショートラブストーリー 1
《ずっと君の隣に…》
マフラーを巻き上げる風に首を縮めると、すくめた肩を後ろから叩かれる。
振り向くと額に汗を滲ませ「待った?」そう息を上げる君に私はいつもの笑顔を向けた。
「そんなに待ってないよ」
なんてね…
寒紅梅の咲く季節。
私のそんな小さな夢はいつまでも夢のままだ。
混雑する人の群れに揉まれ、首に巻いた暑苦しい毛糸の束をむしり取りながら、ショーケースと睨めっこをする。
なるべくシンプルな物を。
生クリーム入りなんてもっての他。
どうせ、行き場は決まってるから…
そんなことを思いながら手にした小さな紙袋を眺め、それに併せた可愛いカードを私は必死になって探し回った。
迎える春の足音。
芽吹く蕾になごりの白い結晶が、もう少しだけ待って!
そう言っているようだ…
もう少し…
もう少しだけ…
前に進めない私。
行動を起こしてもいつも中途半端。
夢の続きを自分のいいように頭に浮かべ、一時の幸せを噛み締める。
ずっと隣にいるのに縮まらない距離。
大事にし過ぎて壊せなくなった関係。
「気になる娘がいる…」
「うっそ!? 誰? 誰?」
楽しそうに冷やかしては胸の軋みを抑えてきた。
近くに居すぎて見てもらえない。
いっそのこと離れてみようか?
そう思うだけで実行に移せずに過ごしてきたから…
「今度はなんだかいい感じがする。相談乗ってくれてありがとな…」
「良かったじゃん!」
毎回、一番に報告に来てくれるから、歪みそうな頬を引き締めてありきたりの言葉しかかけられなかった。
マフラーを巻き上げる風に首を縮めると、すくめた肩を後ろから叩かれる。
振り向くと額に汗を滲ませ「待った?」そう息を上げる君に私はいつもの笑顔を向けた。
「そんなに待ってないよ」
なんてね…
寒紅梅の咲く季節。
私のそんな小さな夢はいつまでも夢のままだ。
混雑する人の群れに揉まれ、首に巻いた暑苦しい毛糸の束をむしり取りながら、ショーケースと睨めっこをする。
なるべくシンプルな物を。
生クリーム入りなんてもっての他。
どうせ、行き場は決まってるから…
そんなことを思いながら手にした小さな紙袋を眺め、それに併せた可愛いカードを私は必死になって探し回った。
迎える春の足音。
芽吹く蕾になごりの白い結晶が、もう少しだけ待って!
そう言っているようだ…
もう少し…
もう少しだけ…
前に進めない私。
行動を起こしてもいつも中途半端。
夢の続きを自分のいいように頭に浮かべ、一時の幸せを噛み締める。
ずっと隣にいるのに縮まらない距離。
大事にし過ぎて壊せなくなった関係。
「気になる娘がいる…」
「うっそ!? 誰? 誰?」
楽しそうに冷やかしては胸の軋みを抑えてきた。
近くに居すぎて見てもらえない。
いっそのこと離れてみようか?
そう思うだけで実行に移せずに過ごしてきたから…
「今度はなんだかいい感じがする。相談乗ってくれてありがとな…」
「良かったじゃん!」
毎回、一番に報告に来てくれるから、歪みそうな頬を引き締めてありきたりの言葉しかかけられなかった。