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KETSU OH!さんの作者ニュース
blue な rubber soul side B3
side B3 いずこへ・・君は優しくも遠い現れ
仕事もひと段落して数年ぶりに帰る自分の生まれ育った街。とりもなおさず彼が向かったのは、長らく顔を見ていない彼女と約束した待ち合わせ場所。互いに何度も取り交わした、今どき古くさい手紙の数々も、相手の書いた字が手元に残ってゆくのを思えば、何より会えない間の慰めとなった。人づてに知ったという彼の住所宛に、彼女から届いた一通が事の始まり。この街での彼の職場で、さほど親しくはないものの、彼自身、少なからず好意を寄せ、増えてゆく手紙と共に、二人の想いも重ねられていった。待ち合わせを約束した手紙を出してすぐ、はやる気持ちから返事も待たずに帰郷し、あまつさえ時間も繰り上げて来てしまい、通りすがった嘗ての同僚と、暫し雑談に耽った。暇つぶしのつもりが話し込む程に時間が経ち、余りに遅く電話でさえ返信の来ない彼女の安否を慮り、事の次第を話し、手紙を見せると、偶然にも良く知る間柄だと言う。しかしながら記された住所には、かつて一度も彼女が住んだ事はないと。
誰とも知れない待ち人が、遠くから自分を見つめているかもしれない、この待ち合わせ場所で、彼が手にしている何通もの手紙の重さ。
仕事もひと段落して数年ぶりに帰る自分の生まれ育った街。とりもなおさず彼が向かったのは、長らく顔を見ていない彼女と約束した待ち合わせ場所。互いに何度も取り交わした、今どき古くさい手紙の数々も、相手の書いた字が手元に残ってゆくのを思えば、何より会えない間の慰めとなった。人づてに知ったという彼の住所宛に、彼女から届いた一通が事の始まり。この街での彼の職場で、さほど親しくはないものの、彼自身、少なからず好意を寄せ、増えてゆく手紙と共に、二人の想いも重ねられていった。待ち合わせを約束した手紙を出してすぐ、はやる気持ちから返事も待たずに帰郷し、あまつさえ時間も繰り上げて来てしまい、通りすがった嘗ての同僚と、暫し雑談に耽った。暇つぶしのつもりが話し込む程に時間が経ち、余りに遅く電話でさえ返信の来ない彼女の安否を慮り、事の次第を話し、手紙を見せると、偶然にも良く知る間柄だと言う。しかしながら記された住所には、かつて一度も彼女が住んだ事はないと。
誰とも知れない待ち人が、遠くから自分を見つめているかもしれない、この待ち合わせ場所で、彼が手にしている何通もの手紙の重さ。