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KETSU OH!さんの作者ニュース
(初期の跡地 より)動機 ⅱ a pause
一巡する間に、所々、分岐しては、やがて高さを持ち始め、そのまま並走しながら、僅かに数歩、多くて十数歩余りの階段として残される。或るものは分岐した後、おもむろに角度を上げたまま留まり、その急な勾配と、さほど広くはない幅のせいもあり、まるで、余りの高さゆえ、支えきれなくなった支柱もろとも、根元近くまで崩れ去ってしまったかの様でもある。
一巡して、既に終わり、具体的な痕跡は、もはや所々に残された階段だけとなり、それぞれの規模に見合った、大小様々な建物への、空間としての余地を残す。ただ、時には逆行した他の階段と鉢合わせ寸前の状態で、余地が充分に残されていない場合もあり、それこそ、当初より在るはずもない建物への階段として、或いは、行く先も定まらない程に高い中空部への足掛かりとして、事実とは異なった名残を見せる。
ごく稀に、分岐した後、すぐさま本来の流れに戻った箇所は、既に何事も無かったに等しい今となっては、むしろ、まったく用途、意味ともに不明の有り様を呈している。