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KETSU OH!さんの作者ニュース
(初期の跡地 より)未だ風景としての跡地
四方を山に囲まれ、その為に限られた平地を、ほぼ独占した状態で、自動車道が縦横に走る。他の地との産業連携による流通経路の派生に伴い、凡ゆる箇所で交差を繰り返し、一方で、経路の煩雑を避ける為、より広いスペースを形作りながら集結し、遂には、街そのものの機能を、単なる通過点にまで集約していった。殆どの建物は人々の住居も含め、平地から山の斜面へと追いやられ、裾野ばかりか中腹にも密集している。さながら、周りを取り囲み犇き合う山々の景観と相俟って、街全体が、一つの巨大なスタジアムの様でもある。
夜になれば、車道に沿って等間隔に配された外灯が一斉に点され、交通量が殆ど無くなる深夜に及び、その、整然とした様は、却って豪奢を極める。それに較べ、居住区へと枝分かれして入り込む細い上りの車道には、立地が災いしたインフラの不備もあり外灯一つ見当たらない。それぞれの生活が確かに営まれているであろう居住区の、暗がりと静けさが、あたかも、光で限られた場所に息を潜めて一斉に目を凝らす客席の威圧感を思わせる。
思わず誰かが語り出してしまいそうな、未だ風景として様々な気配を残していた頃。
夜になれば、車道に沿って等間隔に配された外灯が一斉に点され、交通量が殆ど無くなる深夜に及び、その、整然とした様は、却って豪奢を極める。それに較べ、居住区へと枝分かれして入り込む細い上りの車道には、立地が災いしたインフラの不備もあり外灯一つ見当たらない。それぞれの生活が確かに営まれているであろう居住区の、暗がりと静けさが、あたかも、光で限られた場所に息を潜めて一斉に目を凝らす客席の威圧感を思わせる。
思わず誰かが語り出してしまいそうな、未だ風景として様々な気配を残していた頃。