作者ページ
KETSU OH!さんの作者ニュース
(初期の跡地 より)動機 以前、夏の風の跡で
辿り着く迄の紆余曲折が、新しい街並みとなって開きかけては、何の滞りもなく成された瓦解の、ほんの一瞬だけを呼び起こし、それぞれの簡素な目的地に終わる。僅かながら保たれた角度に、かつては拡がりを見せていた風景の兆しを残し、ごく短い通りで、あの頃の夏風が吹く。その数歩の逡巡のうちに、早くも数年、数十年の時は過ぎ、それらの事共も、もはや断絶の感すらある此処からは、多分に憶測の域を出ない。時間を経る毎に、ますます他の場所から孤立して高さを増し、その時代特有の地層も顕に、辛うじて人々の往来が可能な程度のスペースが、おそらくは残されている。未だ誰かしらの記憶があり、地層を通じた憶測を交えながら、例え僅かでも外観が認められ、此処からも眺め得る限り、目的地には程遠い。様々に高さはあるものの、距離にして数歩の位置を、その時々の短い夏風が吹く。そして此処も又、何れの場所とも定まらず、通り過ぎてゆく。