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おはようございます。


　国王はついに哀しい覚悟を決めたようですね。
　恐らくは雪鈴のお腹の子を我が子として公式に発表した際、彼自身はまだ自分の生命が長からぬことを信じてはいなかったのでしょう。
　あるいは信じたくなかったのかもしれません。

　王と雪鈴の年齢差は21歳。彼が最晩年に出会った側室であり、共に過ごしたのはわずかな時間にすぎませんでした。
　でも、共に過ごした時間と気持ちの深さは当たり前ですが、比例しませんね。
　漸く心から愛する女と出会い、「我が子」を持つことができる、愛しい女と「家庭」を作るのだと歓んでいた矢先の不幸でした。

　やはり自分は長くは生きられないーと悟った時、王は遺してゆく雪鈴とお腹の子に対して、自分が何をしてやれるかを考えたに違いありません。

　それが、書き付けを残すことだったのです。

　この書き付けは、とても重要な意味を持つものだとは雪鈴も理解していました。

　ですがー。

　王の生命の炎が消えようとしている今、雪鈴の中には自分のことは考えられず、ただ哀しみで一杯でした。

　とても優しい、心の広い男でもありました。
　異性に対する恋情ではないですが、確かに雪鈴は陽祖に対しても親愛の情を持ち、彼と心を通わせたのです。

　それでは、本日もよろしくお願いします。
　

　

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