作者ページ
KETSU OH!さんの作者ニュース
blue な rubber soul side B1
side B1
it's only love(嘗ての愛を、ここに置く)
囁きを交わすほどに隣り合い、それ以上、近づきも離れもしない二人の間で、何が約束されるでもなく変わらず守られ続けて・・・
〝目が覚めればいつだって、貴方も、私と同じ朝を迎えてらっしゃる、と、それだけを気持ちの拠り所に、毎日を過ごしております・・・〝
そうして、ただ、愛だけが二人をよそに、何年、何十年と、固く結ばれたまま開かれる事もなく、いつとも知れず、誰が気付くでもない気紛れな朝の一日に、やっと、その一雫を、取りこぼすのでもあろう
そんなにも美しい朝に落とされて、薔薇よ 君は君でひとり
殆ど文字が滲んで読めない、その短い手紙は、宛名はおろか、消印が押されたかどうかも分からない、古ぼけた封筒に入っていた。
古書店で数日前に求めた、本の間に挟んであったものだ。
花をあしらった装丁が目に留まり、柄にもなく購入した、いささか時代遅れで、ありきたりな内容の恋愛小説である。
繰り返して読む事は、おそらくもう無い。
暫くしたら、その手紙を再び挟んで、何処か、遠い街の古書店に置いてくるつもりでいる。