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恋は会話から【ハナコイ】
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女子社員A
さぁねー。こればっかりは、当人同士の問題だしさー。あ……お疲れさまです
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私に気づき、彼女たちは会釈をして自分たちの部署へと引き返していった。彼女たちが話していた【例の】とは何のことなのだろう?
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悶々とした気持ちを抱えつつ、自動販売機に硬貨を入れ、お目当てのミルクティーを購入し、来た道を戻って自身の席に着席した。仕事に打ち込んでいても【例の】が頭から離れることはなかった。
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仕事終わり、会社から出ると私服姿の男性がこちらに向かって歩いてきた。黒のTシャツにグレーのパーカー、ジーパンに黒のスニーカー。ラフな服装でも様になっているのは、彼が整った顔立ちをしているからだろうか
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陽平
悪い。会社まで迎えに来て……
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照れくさそうに頭をかく彼を可愛いと思った。そんな私の視線に気づいた彼は恥ずかしそうに視線を逸らした。
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陽平
べ、別に……アンタが心配でとか、そういうんじゃないからっ!! ……くそっ、なんか調子狂うな。ほ、ほら! 行くぞ
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スタスタと早足で歩き始めた彼の背を追い、私も歩き出す。でも、すぐに私の歩幅に合わせてくれた。意外と面倒見がいい人なのかもしれない。
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隣を歩く彼に「ありがとうございます」と言うと、視線を前に向けたまま、「……別に」と素っ気ない返事が返ってきた。……素直じゃない人。仕事帰りの人で行き交う大通りを彼と並んで歩いていった。
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