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その時間の、その列車の、そのドアに乗りこめば、少しくらいの痴漢に遇うことは分かっている……つもりだった、その夜その男（ひと）に逢うまでは。副都心から郊外へと帰る乗客を運ぶ土曜日の深夜の近郊電車。そこでターゲットにされた女、恵子。彼女の後を追う男たちの影。列車の車内で繰り広げられる凌辱の数々。やがてそれは思いもかけない方向へと展開し始める。
　偶然の痴漢…その男に「続けてもいいですか？」と尋ねられた恵子は黙ってゆっくりと頷いた。読者から「実話なのか？」と質問が殺到したリアリティ。恵子のアブノーマルな世界。禁断の欲望を乗せた列車が今、加速する。
　平均、三千文字に一度の官能シーンを散りばめ、恵子の身に起きるドキドキはらはらの恥辱の数々。『本日も車内、大変混み合いまして恐れ入ります。順に中ほどへとお詰め下さい。間もなく発車いたします。』