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ピアノ教師の水元啓子は離婚し、一人住まい。ある日、音大の大学院時代の恩師から「いい子がいるから、面倒見て欲しい」と頼まれた。それが恋人となる吉野幸一との出会いだった。啓子は３２歳、幸一は中学３年、１５歳だった。

最初は「なによ、この子」と色々意地悪をしたのだが、幸一のピアノに対する真摯な姿勢に自分のいい加減な態度を反省し、心を入れ替え、熱心に指導に励むようになった。

いつしか二人は互いに気を引かれ、好意を持つようになった。

そして、運命の雪の夜、二人は結ばれた。啓子３３歳、幸一１６だった。

しかし、幸一が技量を上げ、「素晴らしい高校生がいる」と評判になると、皮肉なことに、恩師から「よく育ててくれたね」と、啓子は幸一を取り上げられてしまった。

だが、幸一は啓子を決して忘れなかった。