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平安時代を舞台に、外戚である藤原氏からの束縛や圧迫を受けつつも、血という絆と天皇という立場の狭間で葛藤する若き帝と、彼を愛したために政争にまで巻き込まれてしまう少女の物語です。。


☆橘薫子は16歳。京の都の市井で商いをしながら、たくましく生きている。そん彼女には、ある秘密があった。ある日、馬車に轢かれそうになった幼児を助けようとした若い男が子どもを庇って大怪我をした。意識不明になったその男を助けたことから、薫子の人生は大きく変わり始める。

―時は平安、朱雀の帝と申し上げる帝の後宮にいと時めきたる御方あり。その御名を後の藤壺中宮とぞ申し上げる。―


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「俺たちに過去は要らない。前だけを見つめて、俺だけを見てついてこい。そなたはこの朕のただ一人の、皇后となる女なのだ」

「後宮という豪奢な鳥籠で、俺のためだけに夜毎囀る美しい鳥として、そなたを飼い慣らしてみようか？　その魅惑的な身体にこの世のすべての快楽という快楽を教え込み、俺なしでは夜も昼も過ごせぬほどの淫らな女にしてやろうか」

「俺はひと足先に都に帰る。その下らぬでっち上げの後宮日記を仕上げたら、そなたもさっさと戻ってこい。帰ってきたら、ただでは済まさぬからな。好き者の帝がただ一人の妃を今度こそ後宮に閉じ込めて、昼も夜もなく喘がせてやる」