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戦国×ミュージック
第3章 毛利ハーモニー
『ちこちこなつなつ』
毛利隆元は、元就宛てに『元春と隆景はいつも二人で「ちこちこ」していて、僕が「なつなつ」と声を掛けても取り合ってくれない』と愚痴をこぼした手紙を書いた事があった。
(僕も元春と隆景と仲良くしたい……まずはフランクに声を掛けて、話しやすい空気を作ろう! さて、二人は……今は、発声練習中みたいだ)
「ちこちこー」
「ちこちこー」
「ちこちこー!」
「ちーこちこー!」
(ふふ、二人は正反対の性格に見えて、息がよく合っている。よし、僕も)
「ちこちこー」
「なつなつー」
「ちこちこー」
「なっつなつー!」
「……隆元兄上、なんだよ、急に」
「や、やあ元春。お兄ちゃんも、一緒に発声練習したいなと思って」
「いや、だからって『なつなつ』なんて入られても困るんだけど」
「そうですよ隆元兄上、発声練習といえば、まずはちこちこですよ」
「一緒に練習したいなら、まずは最近の流行りを勉強してから来いよな」
「そうですよ、隆元兄上は、もう若くないんですからね」
「う……うわあぁん、弟が冷たいよぉー!」
「ちこちこ」と「なつなつ」がなんなのかは、私にはよく分からないのですが、知っている方がいらしたらぜひ教えてください。手紙のニュアンス的には、擬音でしょうか?
ちなみに、愚痴を聞いた元就は「あの二人、ワシにも冷たいんだよ! その気持ち分かるぞ」と、傷を舐め合うような返事をしている。
その上で「けど、元春は昔っから細かい付き合いをしない子だから、あの子に関しては諦めなさい」とも書いている。元就から見れば、元春はドライな子だったようだ。
だが、親兄弟も構わず殺す戦国時代において、毛利家は仲が良い。作者的には、お兄ちゃんがブラコン気味だったのではないかと思う。