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父と娘の近親相姦日記 April fool archive
第1章 世界の終わり。始まりの二人。
[10月25日] 風景:鉾浜(ほこはま)市庁舎
華が父の精を受けたまさしくその直後、鉾浜市の別のところで異変が観測されていた。
鉾浜市庁舎内の中央管制室である。
その部屋だけでなく、庁舎内全体にもビー、ビー、という警告音が鳴り響いている。
「このアラームはなんだ!?いったい何が起きた。」
走りこんできた市長が問うと、室長の加瀬が報告をする。
「エラいことになりました。地球帰還プログラムが起動しています。」
「なんだって!?システムガイアがそう言ってるのか?」
「はい。どうやら各国のコロニーシップ全体で、ついに5万組のアダムとイブが認定されたようで。しかも栄えある5万組目は鉾浜市民とのことです。」
「なんと!・・・そうなのか・・・八兆寺市やニューヨーク市の船との連絡は?」
その二つの市は、いずれも鉾浜市と親交の深いコロニー船である。
「どちらも状況は同じみたいです。一斉に地球降下軌道に乗りました。」
モニターには各国の、総数40隻を超えるコロニーシップの軌道が示されていた。
いずれもその軌道を衛星軌道上から地表に向かう深い角度に修正されている様子がわかる。
「なんてこった…しかしいくら5万組目が発見されたからといって、こんな何の前触れもなく…」
そこで、ゴゴゴという地鳴りと共に、市庁舎は大きな揺れに包まれた。
「うっ!これは…早い…まさかもう崩壊フェイズに入ったのか!?」
「そりゃあ、宇宙船と言ってもこれだけ巨大なものが何十隻とあるんです。全部地上に落としたら、せっかく元に戻った地上の自然環境が壊滅的な打撃を受けますからね。」
「そんなことはわかってる。代々語り継がれてきたことだ。私が言っているのはなぜ十分に安全を確保する時間を与えてくれないのかということだ!」
「そりゃ私にだってわかりません。ガイアに聞いてください。」
加瀬はもうあきらめましたという顔でそう言うと、両手をオペレーションボードから離した。もはや彼が出来ることは何も無くなってしまったのだ。
他のオペレータ達も同様、二人のやりとりに目をやりながらその手を降ろし、揺れに身を任せていた。
「くっ…だがもう今更そんなことはどうでもいい。とにかく、全市に避難勧告。ただちに脱出用シェルターへの避難を開始。誘導班アクティベイト。」