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続・捨て犬
第9章 や、やわらけぇ〜、つか、あったけぇ〜
動物園に着くと
内緒って言ったけど
弁当であろう
荷物を俺が持って
手をつなぎ

時々
顔を見合わせながら
俺達は
園内を歩き回った


大きな声は
出さないけど
エミは
ゾウのデカさに驚いたり

キリンのヨダレに
びびったり

フラミンゴに
見とれたりと

表情を
コロコロとかえて
楽しんでる
みたいだった


しばらくして
見たいと言っていた
ペンギンの居る場所へと
辿り着くと

そこは
ペンギンが
水中を泳いでるところを
地下から見られるように
なっている構造で

エミは
かなり喜んでいた


「カズマ・・・
・・・すごい・・」


確かに
俺もちょっと
すげーなって思うほど
間近で見る
ペンギンの泳ぎは
爽快だった


「うん、すげーな」


「私も・・
泳ぎたい・・・」



「お前さぁ・・

最後に
泳いだのって・・いつ?」



「小学校の・・・・?」


「覚えてねぇの?」


「・・ん・・」


他にお客さんは
いっぱいいたけど

ガラスに
へばりついて
ペンギンを見てる
エミの真後ろに
俺は立ち

ちょっと
重さを感じてきた
弁当を肩から下ろして


エミを

後ろから

優しく抱きしめた


ちょっと
俺を振り返った
エミの柔らかな髪に

顔をすりよせ


誰でも普通に
経験してきたことを
やり残したまま
生きてきた
エミを

両手で包みこんで

ただじっと

2人で
ペンギンを見続けた



エミが

もういいよって

言うまで



ずっと



自由に泳ぐ

ペンギンを



見続けていた
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