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Cross roads
第2章 Cross road 2
「あれ…もしかして、沙織…?」
日曜日。
祥悟くんと待ち合わせの前に、寄りたいトコロがあって早めに三宮に出てきた私は、いきなり声を掛けられる。
「…?」
その声の主を認識するのに、私は数十秒の時間を要する。
親しげに沙織、と呼びかけた声の主は、大人になって大分雰囲気が変わっていたけど…
「…慎吾、くん…?」
「わからなかった?まぁ、そうか…何年ぶりだっけ…俺が就職してからだから、もう10年近くになるもんな…」
学生時代の、元カレだった。
就職した会社で、東京配属になって、フェイドアウトしたのだ。
「…結婚、したんだ…」
彼は、私の左手薬指に嵌った指輪を見て、呟いた。
その指輪は、婚約期間中に、と祥悟くんがくれたもので、マリッジリングではなかったのだけど。
近々結婚するわけだし、説明するのも面倒だった。そういうことにしておいたほうがいいのかな。
「慎吾くん、は…こっちに帰ってきたの…?」
「ん。まだ向こうに居るけど、春の辞令で大阪支店へ転勤の打診が来てさ。まぁ大阪なら実家から通えるから当面は問題ないんだけど、今の彼女と結婚すんなら神戸に住みたいなーと思って、休み利用して物件見に来たとこ。ま、まだ先だけどね」
日曜日。
祥悟くんと待ち合わせの前に、寄りたいトコロがあって早めに三宮に出てきた私は、いきなり声を掛けられる。
「…?」
その声の主を認識するのに、私は数十秒の時間を要する。
親しげに沙織、と呼びかけた声の主は、大人になって大分雰囲気が変わっていたけど…
「…慎吾、くん…?」
「わからなかった?まぁ、そうか…何年ぶりだっけ…俺が就職してからだから、もう10年近くになるもんな…」
学生時代の、元カレだった。
就職した会社で、東京配属になって、フェイドアウトしたのだ。
「…結婚、したんだ…」
彼は、私の左手薬指に嵌った指輪を見て、呟いた。
その指輪は、婚約期間中に、と祥悟くんがくれたもので、マリッジリングではなかったのだけど。
近々結婚するわけだし、説明するのも面倒だった。そういうことにしておいたほうがいいのかな。
「慎吾くん、は…こっちに帰ってきたの…?」
「ん。まだ向こうに居るけど、春の辞令で大阪支店へ転勤の打診が来てさ。まぁ大阪なら実家から通えるから当面は問題ないんだけど、今の彼女と結婚すんなら神戸に住みたいなーと思って、休み利用して物件見に来たとこ。ま、まだ先だけどね」