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Cross roads
第4章 Cross road 4
金曜の夜の事だった。

義隆さんより先に帰宅して、エントランスの集合ポストを開けると、新聞の夕刊やDMに交じって、一通の手紙が入っていた。

淡い、桜色の封筒。
女性らしい繊細な文字で、萩原義隆様、と書かれたその手紙に、心拍数が上がる。
裏面を見ると、差出人は新田 桜子 とあった。

名前を聞いたわけじゃない、でも、なぜか、義隆さんの別れた奥様だ、と思った。

部屋に入り、リビングのローテーブルに新聞と手紙を置いて、自室に戻り、着替える。

着替えながらも、手紙のことが頭を離れなかった。

渡すべき?

開封して、先に読んでしまいたい。

やっと手に入れた、私たちの生活を乱さないで。
何年も前に、勝手して出て行ったくせに…

胸の奥から、もやもやと黒い感情がわき出てきて。

食事の支度をする気も失せ、でもおなかは空く。
今から何かを買いに行く気力もない。
その時、義隆さんからメールが入った。

『今から帰るけど、何か買って帰るものはある?』

食事の支度をしていないことだけは返信で伝えた。
20分ほどして、義隆さんが帰ってきた。

「ただいま。体調でも悪いの?何か買おうかとも思ったけど、でも体調悪いなら相談してからの方がいいかと思ったから、何も買わずに帰ってきたよ。出前でもとる?」
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