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桃色フラストレーション
第24章 香港での再会
「あいつの言ってることは半分以上は嘘だから。オレにもお前のこと、いろいろ吹き込んできやがって……電話した時にも部屋に男がいて真っ最中だったみたいでお邪魔しちゃった、とかっ……!」
「そんな……すごい嘘……」
じゃあ私が聞かされた話も嘘だったって言うの……?
「もうあのビッチはシンガポール支社に飛ばしたから、香港にはいないから安心してくれ。オレも確かにあいつに襲われたし狙われまくってた。けどそれ以上のことは……、えぇと……」

ちょっと間があいて、気まずい空気が流れる。咳払いをして、光が言った。
「……千代もいろいろあったと思う。離れてる半年の間に他の相手ができたら自由、って約束だったしな。……すっげぇ嫌だけど……他の男となんかあったかどうかは、……うん、聞きたくないし、聞かない」
うん……いろいろ……あったけど、言えない。私だって光のこと……、聞きたくない。
「で、だいじなのは……今の状態で」
「……うん」
「今回親父に支社長任命されて、東京に帰れないことになって……、オレには千代しかいないから無理にでも会わなきゃと思ってこうして呼んだけど、その……」
光の緊張が伝わってくる。
「今、……他の男と、関係持ってる……?オレより好きな男……いる?」
物凄く不安そうな顔で、見上げている。あの光が、こんな顔をするんだ……。それほどに、私のことを……。
「……いないよ。光しか、いない」
「……はぁーーっ……よかった……」
背もたれにうなだれかかり、一気に緊張から解放された様子の彼を見て、私も気が緩んだ。
「光がサキガケ商事の社長の息子であろうとなかろうと……、私の心に入ってくるのは光だけしかいないよ……」
「うん……。嬉しい……よかった本当に……。ははっ」
その瞳が涙ぐんでいることを、私は見逃さなかった。もう、離れちゃだめだ――。

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