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桃色フラストレーション
第14章 すれ違いと偶然
逢瀬を重ねていくごとに、純くんの純情は失われていった。こんな私の毒牙にかかった彼は、すっかりエロスを身に付け、私が攻める隙を見つけるのに苦心するほどになっていった。テクニックの上達も激しい。いったい今までの彼女とはどれだけおとなしいセックスをしていたのか……と思ってしまうけれど、もしかしたらそちらが平均的な日本女性で、私が異常なだけなのかもしれない。

私にとって純くんとの関係は、ずっと現実逃避のまま。だからリアルな自分の話をするのをずっと避けて、会えば身体の関係だけにしてきた。光とのことを思い出したくないから私の家には呼ばず、会う時はいつも純くんの家。仕掛ければすぐに彼は応じるし、互いに何度もイッて、面倒な現実のことを考えないようスッキリさせてくれた。いわゆるセフレってこういうものなんだろうなと、混乱したままの頭の中で私は思っていた。

けど、最近の彼は……

「好きだよ千代さん……愛してる」
「千代さん、可愛い……大好き……」
「ねぇ千代さん……ここに住みなよ……ずっと一緒にいたい」

……といった具合に、想いを告げてくる……。これには困ってしまった。私は、その場限りだとしても、私も好き……だとか言えなかった。逆にこういうことを言われるたびに、純くんに対して恋愛感情がない自分を思い知らされる。そして、それなのに……あんなに興奮して身体を重ねてばかりいることに、罪悪感を持ち始めていた。

そして、純くんもまた――、そんな私に疑問を感じ始めていた。
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