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〇〇を教えて。。
第5章 ムズカシイけどイイみたい☆

『もしぃ?
遥香ぁ??』
理玖は暮れ始めた街を歩きながらスマホ片手にtellをする。
建設会社での仕事を終えて、
〔女性用デリヘル〕の現場へ向かう途中だ。



「渚と呼びなさいな。
___何?メッセージ送ったでしょ」
仲介者である渚遥香の声は冷たい。


『それは読んだ。
ホテルに向かってる途中。
あのさー、
銀行行ったら2万しか入ってねぇんだけど?』


「____それが何よ?」



『もっとくれないわけ?』


派手な髪にスーツ姿の理玖。

すれ違い様にチラチラと女性が視線を送る。
が、
当人は当然(?)他人の視線など全く視界に入らない。


「あなたねぇ………。
あのね、まだ1回紳士用玩具の仕事をしただけでしょ!
1回につき2万なんて良い方なのよ。
もっと稼ぐには数をこなすしかないわ。
頑張りなさい。あ、撥水クリームで傷をきちんと隠してね」


通話はプツリと切れてしまった。


『ちぇー。
ま、そりゃそうだよな~』

理玖は腕時計を見る。


スーツを着て社宅を出ようとした。
出掛けに真田に出くわしてしまいそうになり、
慌てて普段着に戻って紙袋にスーツ・ネクタイ・靴を入れて近くの駅トイレで着替えたのだ。
その時に例の「傷隠しクリーム」も塗っておいた。



真田にバレて困るほどじゃないけど、
社長に告げ口されたら面倒くさい。。


理玖はタバコを咥えて火を点けた。




今夜は2人の客がある。



渚から送られてくるメッセージは、
〔32歳・会社経営者・Tホテル*号、夜9時~

28歳・主婦・ホテルf*号、夜1時~

初めてだからといって粗相(そそう)のないように。
敬語(けいご)を使って、
お客様の要望(ようぼう)にしっかり応(こた)えること。
お客様が何を望んでいるのか、
ちゃんと窺(うかが)いながら進めるのよ。
今夜は初めてだから2人にしておきます。
上手くできたら客数を増やしてあげるわ。
頑張りなさい。〕


と客の氏名が無かった。
(丁寧にフリガナが打ってあった………)
知られちゃNGなんだろーな。

こないだの紳士男も名前は知らないままだった。




理玖は夜空を見上げた。
(待ってろ、
優月)
そう思いながら。


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