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〇〇を教えて。。
第5章 ムズカシイけどイイみたい☆
『はあ?
なんで私が……………………』
翌日昼間。
白石クリニックの個室。
清潔な白衣を着て腕を組み、
イスに腰掛けて大きな瞳で宗一郎を睨む毬佳。
華やかな美人が睨むと、
迫力があって怖い。
『一度だけでいい。
頼むよ。
形だけでいいから、真田さんと会ってくれないか』
宗一郎は理玖の先輩・真田と毬佳の橋渡しをしようと白石クリニックを訪れた。
『…………藤代くん……、
あなた本当に頭がおかしくなったの?
断ります。
同じ三次元に棲息してると思うだけで虫酸が走るわ、ああいう人たちは…………』毬佳は大仰に身震いをする。
毬佳の家は代々医者だ。
毬佳は1人娘で当たり前のように医学部にストレートで合格した。
幼稚園から私立の一貫校だったが、
毬佳が「ぬるま湯に入ってると学力が低下しちゃう」と高校から外部受験をした。
偏差値75の私立学園。
男子部と女子部に分かれており、校舎所在地は隣街だった。
男子部に居た宗一郎は噂で毬佳の存在を知っていた。
(入試トップで入学した美人がいる、と)
宗一郎が高校3年、毬佳は1年だった。
毬佳の価値観の真ん中にあるのは学歴だ。
学歴または学力。
幼稚園から私立一貫校だと、
よほど問題を起こさない限り大学まで文字通りエスカレーター式にすいすい上がれる。
毬佳はそんな環境が嫌で、
自分から外部受験を選び勉強しトップ合格したのだ。
だから、
そんな毬佳が中卒・建設業者を毛嫌いするのは当然といえば当然である。
「自助努力しなかった者」という感覚。
まして犯罪歴がある人間を雇う菅原建設なぞ、
毬佳には毛虫以外。
『____そうか。
そりゃそうか…………』
宗一郎はダメもとだったが、
やはりそうかと肩を落とした。
毬佳が顔を上げる。
『ねぇ、本当に一体どうしたの?
宗一郎らしくない』怪訝な顔をする。
『…………いや。
真田さんの必死そうな嬉しそうな表情を見たら、
ダメもとでも打診したくなったんだよ』