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奈落の向こう側
第19章 奈落の向こう側 
部屋の前で足音は止まりました。

でも、その後の音が聞こえて来ません。

妻は躊躇っているのでしょうか?

1分、2分、3分、私は堪らず
玄関へ行きドアを開けました。

そこには下を向いた妻が立っていました。

私は無言で妻を引き寄せて
ドアを閉めて抱き締めました。

妻「ただいま帰りました」

私「お帰り美奈子」

その後はお互いに涙を流しながら
抱き合ったままでいました。

1年半ぶりの妻の温もり、
柔らかい抱き応え、そして
懐かしい匂い、全てが
元のままでした。

私の美奈子が帰ってきた。

本当に帰って来てくれた。

その事を実感しました。
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