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第11章 ◆ Scene03

　
「そのミホちゃんって娘に……その内で良いから、諦めてって伝えて貰えるかな？」

「え、えっと……。一体…何の事だか………」

「アイツはもしかしたらと思ってサエちゃんを此処に寄越したんだろうけどさぁ」

「え、えっと………」

　全く男子の言葉の意味を理解できていない紗英。

　戸惑いの言葉を吐き出すしか出来なかった。

「オレも面倒な事は好きじゃないしねぇ」

「は、はぁ…」

「まぁ、アイツに頼まれたからやってるようなもんだし」

「…と、取り敢えず………」

　先輩男子が吐き出す愚痴とも取れる言葉に、紗英は怖ず怖ずと口を開いた。

「…み、美穂ちゃんに……さっきの言葉……伝えれば良いんですね？」

「まぁ、そうだね。そうしてくれりゃ、一応、オレもアイツからの頼みをやった事に出来そうだし。
　それに、サエちゃんはその気は無さそうだから、別に」

「え、えっと……紗英のその気って…」

「あぁ…。こっちの話だよ」

　焦った素振りも無く笑みを浮かべる男子の言葉に、紗英は小首を傾げるだけだった。

「あぁ。こんなの渡されたけど」