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パズル
第4章 現実
「例えば、君が婿養子としてうちに来る、というのも一つの手かもしれんな。うちには瞳の上に、すでに結婚して家を出た娘がいるだけだから、今この家に住んでいるのは、私たち夫婦と瞳だけだ。君と子供が増えたところで、別段手狭になることもない。君の家にローンが残っていないのなら、売って資産にするもよし、人に貸して家賃収入を得るもよし。どちらにしても生活費の足しにはなるだろう。瞳と子供のサポートは私たちが出来るから、君も瞳も慣れない環境で孤軍奮闘する必要もない。どう思う?」

それは、確かに魅力的だった。
でも。

「そこまで、甘えるわけには・・・」

「君を甘やかしている訳じゃない。私は、瞳に一番負担の少ない方法を考えているだけだ。気が強くて、生意気なことばかりいう娘だが、私にとっては可愛い娘なんだ。大切に育ててきたつもりだし、この娘が苦しんだり悲しんだりする姿はできれば見たくない。それは今までも、そしてこれからも決して変わらない。」

瞳が泣いている。
こんな、親の懐の深さを目の当たりにしたら。
自分を想う言葉を、直接聞いたら。
感動しない子供なんて、いないだろう。
俺はなんて、ガキだったんだろう。
それを、嫌というほど思い知らされた。

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