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山田雪江のフロント日記
第10章 エピソード 7 見せたなぁ~!
「他にももっとないんですか?おもしろい客の話」
「そうねぇ・・特別ってほどじゃないけど」
雪江さんはワイングラスを揺らしながらチーズをつまむ。
あら美味しいわね、と立て続けに3つも口に放り込んだ。
「お客がさ、あれほしいこれほしいってフロントに電話かけてくると
それを届けに行くんだけどさ」
「へぇ、どんなものです?」
「たとえばドライヤー。部屋に設置してあるんだけど、
借りたいって客がいたりするのよね。
あとはティッシュが少ないから持ってこいとか、
歯ブラシだってペアのがちゃんと部屋に置いてあるのに
もう一本欲しいとか言ってさ、パックされてんだから一本なんて
無理なのよ!まったくさぁ」
鼻息の荒くなった雪江さんを落ち着かせるために
ワインを注ぎ足した。