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影に抱かれて
第13章 再生
「ほら、リュヌ。いい子だから……」
本来ならこの豪勢な料理がリュヌの口に入ることはない。興味もあったし、しかしそれ以上に差し出されたジュールの指先に官能的な、抗いがたい魅力をリュヌは感じていた。
指先が唇を割り、中へと侵入する。口の中に広がる芳醇な香り。
そして指先を舌でなぞるとジュールの口からははあっと軽い息が漏れ、その感触にリュヌの心まで痺れるのだった。
「それにしても豪華な午餐会を考えたものだ」
指先をリュヌにしゃぶらせながらジュールは話し続ける。
確かに、伯爵の死後、とても事業が順調とは言えないフランクール家には分不相応なほどの豪勢さかもしれなかった。
「ジュールは……平気なの?」
もともとジュールは、夫人の見栄っ張りな部分を嫌っていて……この午餐会についても夫人に何か意見をするのではないかとリュヌは心配していたのだ。