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影に抱かれて
第7章 花の蜜
翌朝――
朝と言っても、まだ暗い三時半からリュヌの一日は始まった。
部屋での黙祷から始まり、明るくなってからはミサや祈り、そして朝食……それから校舎へ移動して、通常ならそこから授業が始まるのだ。
初日は手続きや、学長でもある老司祭に入学の挨拶をして一日が終わり、夕方からは皆と一緒に祈りを繰り返し夜八時には就寝した。
自室から一歩外に出れば私語をする者も殆ど無く、静かな空間の中で粛々と時は過ぎていく。ここはケージ・エピネと噂されるに相応しい、特に厳格なことで知られる学園だった。
規則正しい生活は、リュヌにとってそれほど苦にはならなかった。なによりも辛かったのは、隣にジュールが居ないことだ。
そして祈りや聖書を学ぶ中で、ジュールと自分の関係が神にとって忌むべきものであることをまざまざと思い知らされ、そのこともリュヌを苦しめていた。
男色をするべきではない、と――聖書の中では繰り返し語られている。それも人を殺すことと同列で述べられているのだ。
そう考えると、自分の罪深さに身が震えた。