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影に抱かれて
第7章 花の蜜
夜になり、隣の宿舎に入る。普段なら鍵が掛かっている時間だが、裏口の鍵がこっそり中から開けられているというのだ。
普段あれだけ戸締りには厳しいというのに、こんなこともあるのだなと二人で話しながら裏口へ行くと、本当に鍵は開いていて、二人はそっと中へ入っていた。
会場は裏口に一番近い、一階の角部屋だ。トントンとノックして中に入ると……
そこには怪しげな香りが漂っていた。
部屋に無数に置かれたキャンドルの香りだろうか……むせ返るような花のような香りには何か妖しげな効果でもあるようだ。
頭がクラクラする……
その時、リュヌは部屋の真ん中に蝶を見た――
薄い布を纏っただけの半裸の女性が二人、男子学生の間をひらひらと舞っている。
リュヌには、本当に舞っているように見えた。蝶が……いや、あれがサキュバスなのだろうか?