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電動人形
第40章 主への忠誠
僅かな瞬間が切り出されて永く感じる。
人形が崩れ落ちるのを本来の主が抱き留めて座席につかせる。
「さぁ降りるよ。」
そして持っていた鞄から白いコートを出して、手早く身支度をして荷物をまとめたのだ。
新しい主と言っていた男は肩を上下させて呼吸をしていた。
「何なんだ?今のは…」
「極上の一歩手前だよ。」
「何で一歩手前なんだよ。」
「楽しい前儀をありがとう。」
「前儀?」
「そうだ。私の人形を皆で昂らせてくれたじゃないか。それに人形に罪悪感を与えてくれて、私は極上の瞬間だけを味わえる。」
「極上の瞬間…」
「そうだ。極上の瞬間だけを食し続けるのだよ。
多く語りすぎたようだ。
ほら、立てるか?」
人形を抱きかかえるようにして立ち上がらせ、抱きすくめた。
「お前にも極上の瞬間を味わわてあげよう。」
人形に向かって本来の主が言う。
ふらふらとして、よく力の入らない人形が本来の主に寄り添った。
「頑張って歩くんだ。」
人形はコクコクと頷き、二人は降りていった。
人形が崩れ落ちるのを本来の主が抱き留めて座席につかせる。
「さぁ降りるよ。」
そして持っていた鞄から白いコートを出して、手早く身支度をして荷物をまとめたのだ。
新しい主と言っていた男は肩を上下させて呼吸をしていた。
「何なんだ?今のは…」
「極上の一歩手前だよ。」
「何で一歩手前なんだよ。」
「楽しい前儀をありがとう。」
「前儀?」
「そうだ。私の人形を皆で昂らせてくれたじゃないか。それに人形に罪悪感を与えてくれて、私は極上の瞬間だけを味わえる。」
「極上の瞬間…」
「そうだ。極上の瞬間だけを食し続けるのだよ。
多く語りすぎたようだ。
ほら、立てるか?」
人形を抱きかかえるようにして立ち上がらせ、抱きすくめた。
「お前にも極上の瞬間を味わわてあげよう。」
人形に向かって本来の主が言う。
ふらふらとして、よく力の入らない人形が本来の主に寄り添った。
「頑張って歩くんだ。」
人形はコクコクと頷き、二人は降りていった。