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電動人形
第26章 千手観音
男たちの愛撫に、陸に揚がった魚のようにはぜる人形は美しかったが、何かが物足りない。


周りの男たちもそれに気づいたようだ。

「ねぇ、お人形ちゃん、どんな音楽聴いてるの?」

40代の男が声を掛け、人形のヘッドホンをずらす。

そうだ。黒づくめの男もそうしていた。

人形には周りの声が聞こえないのではないか?

最初にそう思っていたのだ。

『アァン…ンクゥ…

ふふっ、よく感じているね。

だが、ただの淫乱人形になってないか?

んぁあ…

ほらほら、淫らなだけじゃ駄目だろう?』

ヘッドホンから漏れるのは音楽でなく、多分人形と主の調教の様子だった。

男はヘッドホンを人形の首に掛け、人形の耳元に口を寄せる。

「ご主人様との調教ごっこじゃなく、俺らと遊ぼうよ。」

その台詞か、声に人形は反応し、大きく身を捩った。
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